材料MBR

広島大学

デジタルものづくり教育研究センター

材料モデルベースリサーチ(材料MBR)プロジェクト

Hiroshima University

Digital Monozukuri (Manufacturing) Education & Research Center

Material Model-based Research Division Project

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共通課題(令和5年度以降)

研究概要

近年世界中で環境問題への取り組みが進められていますが、今後は循環型社会の実現が一層求められていくと考えられています。
循環型社会とは、環境と経済を両立しながら、廃棄物を出さず資源を無駄なく繰り返し使う社会のことで、 具体的には生産や市場で3R(リデュース・リユース・リサイクル)を積極的に実施することで、環境への負荷を軽減させることのできる社会です。

従って、マテリアル分野では、生産工程や市場で発生した廃棄物を再利用するマテリアルリサイクルが益々重要となります。
しかしながら、生産者がリサイクルされた材料を使いこなすには課題もあります。 特に「性能は十分か?」「正常に生産できるか?」「10年後も市場で大丈夫か?」など判断できる技術力が大変重要になると考えています。

同時に、材料を無駄なく高機能な製品につなげていくことも重要で、このためにシミュレーションを多用したモデルベースの研究を展開します。

そこで、材料MBR部門では関連する以下3つの共通課題を掲げ、地場企業の皆様との切磋琢磨でそのような知見と技術力を身に着ける取り組みを行っています。

共通課題1:リサイクル材機能モデルの確立

狙い:リサイクル材活用拡大に向け適切な判断や材料開発を行えるように、材料の素性を迅速かつ正確に把握できる基盤技術力を確立する。(図1)

価値:材料分析結果から材料性能を予測可能とすることで、リサイクル材の利用判断の迅速化、また改質方法、開発材料仕様の適正化が可能となる。

アプローチ:材料MBRの分析装置、環境装置、評価装置のフル活用で、材料成分・組成とその変化を定量化し、材料性能との関係を把握する。(図2)

図1
図1 リサイクル材機能モデルの確立
図2
図2 “素性”を即時判断する三つの技術の確立

共通課題2:射出成形工法モデルの継続進化

狙い:既存のシミュレーション技術は、実際の現場においては、種々の作りこみや補正で活用されていることが多くリサイクル材活用、工法変更など前提の変化には対応が困難なことがある。 そこで物理現象を正しくモデル化することでシミュレーションの汎用性をあげ、変化に強い開発プロセスづくりに貢献する。

価値:時々刻々変化するリサイクル材活用時の製品における課題の予測、あるいは新材料、新工法採用時の合わせこみ作業などの工数削減、手戻り削減による期間短縮、働き方改革。

アプローチ:材料MBRの分析装置に加え、工法モデル化装置、見える化装置をフル活用し、 従来のシミュレーション技術ではとらえられていなかった型内現象を把握し、改善モデルを既存シミュレーションへ実装する。

図3
図3 射出成形工法モデルの継続進化

共通課題3:繊維工法モデルのブラッシュアップ

狙い:不織布などの繊維材の工法モデルをブラッシュアップし、アウトプットの精度を上げるとともに、モデルの適用範囲を広げる。

価値:繊維工法モデルをブラッシュアップすることで、狙いの防音性能を得る為の繊維材の微細構造を実際にものづくりできるようになる。 材料を無駄なく高機能な製品につなげていくことで環境負荷を減らしつつお客様価値を向上できる。

アプローチ:2022年度までの材料MBRコンソーシアム活動で開発した繊維材の工法モデルに関して、計算結果の検証のための実験を行い、モデルのブラッシュアップによって予測-実験のずれを修正するとともに、得られるアウトプットの拡大を図る。(図4)

図4
図4 繊維材工法モデルのブラッシュアップ